先日、ある女性ランナーの患者さんからこんな質問を受けました。
フルマラソンには興味がなく、トレイルや超長距離を走るのが好きで、明るく笑顔の素敵な方です(^^)
「インターバルトレーニング(IT)をしないと速くなれないんですよね?」
ランニングをしている人なら、一度は同じことを考えたことがあるのではないでしょうか。
特に練習会に参加している人ほど、その傾向が強いように感じます。
周りの人が400mや1000mのインターバルを当たり前のようにこなし、SNSでもさまざまな練習メニューが紹介されているのを見ると、「自分もやらなければいけない」と思ってしまうのも無理はありません。
ぼくの答えは少し違います。
「インターバルトレーニングが必要かどうか」ではなく、「いつ、なぜ取り入れるのか」を考えることの方が大切だと考えています。
なぜなら、ランニングには万能な練習メニューが存在しないからです。
なぜ多くのランナーはインターバルトレーニングをやろうとするのでしょうか
インターバルトレーニングは、心肺機能やスピード持久力を高める、とても有効な練習方法の一つです。
多くのランナーに取り入れられている練習でもあります。
ただ、人気があるがゆえに、一つの勘違いも生まれやすいと感じています。
それは、「インターバルトレーニングをやること」自体が目的になってしまうことです。
例えば、
「400m×10本」
「1000m×5本」
という練習メニューを見ると、なんとなく速くなれそうな気がします。
数字で表せるので達成感もあります。
苦しい練習ほど効果がありそうなイメージもあります。
それらが悪いわけではありませんが、自分に必要な練習かどうかは別の話です。
ぼくが普段患者さんをみていて感じるのは、走り込みが十分ではない段階でITに取り組んでいたり、その練習の意味を理解しないまま取り組んでいる人が意外と多いということです。
それだと本来得られるはずの効果も薄くなってしまいます。
ITが必要かどうかは、今の自分の段階によって変わります
もし患者さんから、
「400m×10本と1000m×5本なら、どちらが良いですか?」
と聞かれたとしても、ぼくはすぐには答えません。
まず聞くことがあります。
・週にどれくらい走っていますか?
・普段どんな練習をしていますか?
・ジョグはどれくらいのペースですか?
・5kmや10kmのベストタイムはどれくらいですか?
これらが分からなければ、その人に必要な練習は判断できないからです。
これは施術でも同じです。
股関節が痛いからといって、全員に同じ施術はできません。
身体の状態を確認し、その人に合った方法を選択しなければいけません。
ランニングも全く同じです。
まずは、自分が今どの段階にいるのかを知ることが大切です。
個人的にはある程度の走る土台ができてから、ITへ取り組んでも十分だと考えています。
少なくとも「みんながやっているから」という理由だけで始める必要はありません。
まずは継続して走る習慣を作ること。そして、ハーフマラソンを無理なく走れるくらいの土台を作ることを優先しても十分です。
その土台ができてからでも、ITは決して遅くありません。
大切なのは「何をやるか」ではなく「どう組み合わせるか」です
一言でインターバルトレーニングといっても、200mから2000mまでさまざまな距離があります。
それらにはそれぞれ役割があります。
例えば、
・200〜400m程度の短い距離なら動き作りやフォームを意識するため
・800〜1000mならスピード持久力を高める目的
・1200〜2000mになると、レースペースへの適応を目的
などです。
ただし、これはあくまでも一般的な役割です。
「この距離をやれば速くなる」という万能なメニューではありません。
ぼくが400mまでの短い距離を行う場合は、心肺機能を追い込むことよりも、フォームの習得を重視しています。
特に夏場はタイムを追いかける時期というよりも、フォームを見直す時期だと考えています。
フォームが整えば、
- タイムが伸びやすくなる
- ケガをしにくくなる
- 秋冬の練習の質が上がる
という好循環が生まれます。
そのために短い距離のITや坂道走を使うこともあります。
心肺機能を高める意味合いもありますが、身体の使い方を見直すためのものでもあります。
最近は、十分な休息を取りながら一本一本の質を高める考え方も広まっており、ぼくもその考え方には共感する部分があります。
何より一番大事だと思っているのは、練習の組み合わせです。
ジョグ、ロング走、坂道走、休養、補強運動、そしてITなどのスピード練習。
これらをどう組み合わせるかで結果は大きく変わります。
どれか一つを頑張れば速くなるというものではありません。
だからこそ「何mを何本やればいいですか?」という質問だけでは本質的な答えが出ないのです。
最後に
もし今、
「インターバルトレーニングをやった方がいいのかな?」
と迷っているなら、一度立ち止まって考えてみてください。
考えるべきなのは、「何mを何本やるか」ではありません。
「今の自分には何が必要なのか」です。
ぼくの手整骨院に来られるランナーの中にも、必要以上にITを頑張り過ぎている人は少なくありません。
しかし、よく話を聞いてみると、本当に必要なのは別のところにあることが多いです。
走る土台が足りない人もいれば、フォームを見直した方がいい人もいます。
疲労が抜けていない人もいれば、そもそも練習の組み立て方に課題がある人もいます。
ランニングには万能な練習メニューはありません。
だからこそ、「みんながやっているから」という理由だけで取り組まないことが大切です。
インターバルトレーニングは、速くなるための魔法の練習ではありません。
数ある練習の中の一つの選択肢です。
「何をやるか」以上に「なぜやるのか」を大切にしてください。
もし、自分にどんな練習が必要なのか分からなくなったら、一度立ち止まって、今の自分の状態を整理してみてください。
一人で解決することが無理そうなら、周りの人に相談したりしながら少しずつでいいので、前に進んでいきましょう。
素敵なランニングライフを過ごしましょうね(^^)

