股関節の前側や足の付け根が痛い。
「椅子から立ち上がると痛い」
「車から降りるときにズキッとする」
「歩き始めに足の付け根が気になる」
こうした痛みでは、足の付け根から太ももの内側につながっている筋肉に負担がかかっていることがあります。
患者さん自身は「股関節の中が痛い」「骨が痛い」と感じていても、実際に確認すると、かなり足の付け根に近い筋肉を押したときに痛みが出ることもあります。
足の付け根にはどんな筋肉がある?
ここで少しだけ身体の話をします。
太ももの内側には、内転筋(ないてんきん)と呼ばれる筋肉があります。
簡単にいえば、足の付け根から太ももの内側に伸びている筋肉のグループです。
脚を内側へ動かすだけでなく、立つ・歩く・身体を支えるときにも働いています。
そのため、この筋肉に負担がかかると、太ももの内側ではなく、かなり上の足の付け根付近に痛みを感じることがあります。
股関節や鼠径部の痛みでは、実際に内転筋周辺の圧痛や、筋肉に力を入れたときの痛みを確認することが、原因を考える一つの手がかりになります。
なぜ立ち上がりや車の乗り降りで痛むの?
足の付け根が痛い方から特によく聞くのが、立ち上がりや車の乗り降りです。
これらの動作では、身体を支えながら脚を動かします。
特に車の乗り降りでは、座った状態から身体を起こしながら脚の向きを変えたり、片脚で身体を支えたりします。
そのため、股関節周囲の筋肉に負担がかかっていると、立ち上がる瞬間や車から脚を出す瞬間に痛みが出ることがあります。
だから「足の付け根が痛い」という情報だけでなく、
どんな動作の、どの瞬間に痛むのか
を見ることが大切です。
硬い筋肉をほぐせばいい?
ここも少し注意したいところです。
足の付け根が痛いと、
「筋肉が硬いならストレッチをすればいい」
と思うかもしれません。
でも、股関節周囲では筋肉の硬さだけではなく、筋肉そのものの量や筋力も重要です。
身体を支える筋肉が少なかったり、左右の筋力に差があったりすると、一部の筋肉ばかりが頑張る状態になることがあります。
そのため、痛い筋肉が硬いかどうかだけではなく、なぜそこへ負担が集まっているのか、というところまで考える必要があります。
足の付け根の痛みは、早めの確認が大事
股関節の前側や足の付け根は、
「まだ歩けるから大丈夫」
「そのうち治るだろう」
と我慢されやすい部位です。
ただ、実際に診てきた経験では、症状が出てからあまり時間が経っていないうちに負担の原因を確認できた方が、比較的早く改善につながるケースも多いと感じています。
足の付け根が痛いからといって、そこだけを見るのではありません。
筋肉量や筋力差、歩き方、筋肉の張りなどを合わせて見ることで、なぜその部位に負担がかかっているのかが見えてくることがあります。
痛みが続いているなら、我慢を重ねる前に一度身体の状態を確認してみてください。
