股関節前側の痛み
走っていると、上前腸骨棘の下あたりや股関節の前側が痛くなる。押すと痛い、脚を前に出すと痛む、走る距離が伸びるにつれて気になってくる――そんな症状でも、原因は一つとは限りません。
股関節の前側には複数の筋肉や腱が関わり、さらに筋力や身体の使い方、練習内容によって負担のかかり方も変わります。大切なのは、「上前腸骨棘が痛いから○○が原因」と決めつけず、何をしたときに、どの部位が、どのように痛むのかを確認することです。
このページでは、ランニングで上前腸骨棘付近に痛みが出るときに考えられる原因と、身体を見るうえでのポイントを解説します。
股関節の前側の痛みとは?
股関節の前側、特に上前腸骨棘の下あたりや脚の付け根に感じる痛みは、ランナーから相談を受けることの多い症状のひとつです。
走り始めに気になる人もいれば、距離が伸びるにつれて痛む人、スピードを上げたときや上り坂で症状が出る人など、現れ方はさまざまです。
そして大切なのは、同じ部位が痛くても、原因まで同じとは限らないこと。
股関節の前側には筋肉や腱、関節など複数の組織が関わっているため、「どの部位が痛むか」だけではなく、何をしたときに、どのように痛むのかまで確認することが原因を考える手がかりになります。前方の股関節痛には複数の病態が関係し得るため、このように症状と動作を合わせて評価する考え方は現在の臨床指針とも整合します。
なぜランナーに多いのか?
ランニングでは、股関節は着地から脚を前へ振り出すまで、曲げる・伸ばす動きを何度も繰り返します。さらに走るスピードが上がるほど、股関節の動きや関節にかかる負荷が大きくなることが報告されています。
そのため、股関節前側に負担が集中しているランナーでは、距離を重ねたときやスピードを上げたときなどに症状が現れることがあります。
ただし、「腸腰筋が硬いから痛い」「フォームが悪いから痛い」と、一つの原因だけで説明できるとは限りません。 ランニング障害は、身体の状態や筋力、走り方、練習内容など複数の要素が関わって起こることがあります。前向きコホート研究でも、ランニング障害の発生には複数の要因が関係することが示されています。
そのため当院では、「どの部位が痛むか」だけでなく、どんな動作・どんな走り方・どんな練習をしたときに痛むのかまで確認しながら原因を考えていきます。
股関節前側の痛みで考えられること
上前腸骨棘の下あたりや股関節の前側が痛む場合、腸腰筋や大腿直筋など、股関節を動かす筋肉や腱が関係していることがあります。
ただし、同じ部位が痛くても原因は一つではありません。
走行距離やスピード練習などの負荷、筋肉の状態、筋力の左右差、身体の使い方などが重なって症状が出ることもあります。
そのため、
- どんな動作で痛むのか
- いつから痛み始めたのか
- どんな練習をしていたのか
- 押したときや力を入れたときにも痛むのか
などを確認しながら、原因として考えられるものを絞っていきます。
筋肉以外の原因にも注意が必要です
股関節前側の痛みは、必ずしも筋肉だけが原因とは限りません。
痛みが強い、歩いていても痛む、体重をかけるのがつらい、症状が長く続いているといった場合には、股関節そのものや骨など別の問題が関係していることもあります。
そのような場合は、必要に応じて整形外科での検査をおすすめします。
まとめ
「腸腰筋が硬いから」「フォームが悪いから」と最初から原因を一つに決めるのではなく、痛む動作・身体の状態・練習内容を合わせて考えることが大切です。
原因として考えられるものを一つずつ整理しながら、また走れる状態を目指していきます。
股関節前側の治療方法についてはこちらで詳しく解説しています。
