関節の変形を科学的視点で見る 1

今回はかなり真面目かつ難しい話です。
「関節の変形」をひたすら科学的に解説していきます。
そして「関節の変形」の対処法も解説します。
変形性股関節症の方はもちろんのこと、関節の変形でお悩みの方は是非ご覧下さい。
本文中に難しい言葉がかなり出てきますが、言葉が重要なのではなく、その過程を説明する上でどうしても使わなければならないから書いているだけです。
言葉は特に覚えたりする必要はありませんので、とにかく過程が大事ということを最初に書いておきます。
なるべくわかりやすいように書くよう努力致します。

目次

硬骨と軟骨

「関節の変形」はなぜ起こるのでしょうか。
結論から書くと「炎症」が原因です。
この炎症が起こる要因は様々あります。
ここで書きたいのは要因ではありません。
「炎症が起こると関節や骨で何が起こっているのか」これが大事です。
まず、骨の構成から解説していきます。
 
骨というものはタンパク質と硬物質(カルシウムなど)で作られています。
少し不謹慎な話になりますが、火葬場でご遺体を焼いた後の残った骨が意外に小さいなと感じたことありませんか?
それは燃やされて残った骨は硬物質で、タンパク質は燃えて蒸発したからです。
骨のタンパク質の体積は4分の3を占めていることを考えると、小さくなることは当然の事象です。
(重量的にはタンパク質と硬物質は同じくらいです。)
硬骨の構造はコラーゲンの分子がきれいに整列して作られています。
硬物質はコラーゲン分子の隙間にギッシリ詰まっています。
この硬物質は、リン酸カルシウムに水酸基がくっついた「ヒドロキシアパタイト」と呼ばれる無機化合物です。
カルシウムは単独で骨になっているわけではなく、骨の「成分」として存在しています。

 
骨についてもう少し詳しく解説しなければなりませんので、もう少し難しい話にお付き合いください。


上記しましたが、硬骨はタンパク質と硬物質から作られています。
これを詳しく書くと、コラーゲンとヒドロキシアパタイトから出来ています。
軟骨はというと、コラーゲンと「粘質多糖体」というものから出来ています。
この「粘質多糖体」の成分は皆さん聞いたことがあるものです。
 
1.ヒアルロン酸
2.コンドロイチン硫酸
3.ケラタン硫酸
 
この三つから構成されています。
どのような形をしているかは画像を貼ります。
図が小さいので拡大して見て下さい。
images
「こんな形なんだ」くらいに理解して頂くだけで十分です。


余談ですが、関節が痛い時や変形した時にヒアルロン酸を注射したり、経口摂取したりすることがあります。
上の画像を見てわかる通り、ヒアルロン酸だけでは粘質多糖体は作られません。
この三つの成分とタンパク質がないと作られません。
この事実を知ってしまったら、ヒアルロン酸だけを摂取することがいかに無駄な作業なのかご理解頂けると思います。
 
 
話は少し変わりますが、これを書かないと先に進めないのでもう少しお付き合い下さい。

骨が溶ける?

生物は「異化」「同化」を繰り返して生物という「形」を保っています。
簡単に表現すると「異化」が「破壊」で「同化」が「建設」です。
このことを「代謝回転」と言います。
この代謝回転は骨でも行われています。
コラーゲンの異化(破壊)では、これが分解されてアミノ酸になります。
また、コラーゲンの同化(建設)では、タンパク質が原料となったアミノ酸から作られます。
骨のコラーゲンの代謝回転のサイクルは10年前後と言われています。
しかし、コラーゲンの代謝回転が速まることがあります。
それは炎症が起きた時です。
炎症が起こると活性酸素が発生し、この活性酸素が骨を溶かします。
この活性酸素が直接骨を溶かすわけではなく、間接的に骨を溶かします。
(ここの細かい説明は省きます。)
炎症が強ければ強いほど活性酸素が大量に発生し骨の異化(破壊)が進みます。
炎症が常にある場合も骨の異化(破壊)が進みます。
骨の異化(破壊)が進むと、先ほど書きました硬骨の成分である、ヒドロキシアパタイトが関節に溶け出します。
また、骨の成分が様々な理由で関節に溶け出します。
(ここの細かい説明も省きます。言葉だけ書いておくと「カルシウム・パラドックス」が原因だったりします。気になる方はこちらの記事をご覧ください↓)

健達ねっと
カルシウム・パラドックスとは?高血圧・心疾患の引き金にも・・・ カルシウム不足の代表的なリスクは骨粗鬆症です。 カルシウム不足は、骨粗 [?]


とにかく、ここで大事なことは「活性酸素が骨の異化(破壊)を進めてしまう」ということです。

関節にたまる水は何?

次に関節の話です。
変形性関節症患者の「関節腔(関節の中)」を調べると、先ほど出てきたヒドロキシアパタイトや、これに似たカルシウム塩の微結晶が観察されることがあります。
上記しましたように、活性酸素により溶け出した物やカルシウム・パラドックスにより出てきた結晶です。
この結晶が関節の中にあるため、関節が動くたびに擦れて、刺激を受けたり傷つけられることが考えられます。
関節が刺激されると炎症を起こしながら軟骨組織を溶かす酵素を出します。
軟骨はすり減るのではなく、溶けていきます。
その溶けたものが液状になり、それが世間一般で言われている「水」というやつです。
よく「膝に水がたまった」と聞くことがあると思います、その水のことです。
実はあれは水ではなく、軟骨組織なのです。
軟骨組織ということは、上記しましたコラーゲンと粘質多糖体が溶けているものが「関節の水」になります。
「関節の水を抜くと癖になる」と言われるのは、癖になるのではなく、大元の原因を治していないから起こることであり当然のことと言えます。
この軟骨組織が溶けていくと骨の表面が柔らかくなることで、骨の強度を保てなくなり変形が起こってしまうのです。

終わり

これが骨の変形で起こっている事象です。
この解説を読むと骨の変形を防ぐ方法が何となく出来そうな気がしませんか???
そうでもないです?・_・;?
変形した骨を元に戻すことは現代の医学では出来ませんが、変形を止めることや骨を丈夫にして、ある程度軟骨を再生させることくらいは出来そうです。
皆さんも疲れたと思いますので、今回はこれくらいで終わります。
次は骨の変形を食い止める方法を書きます( ^ω^ )

 
続きをお楽しみに〜( ^ω^ )

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