長距離を走る人の股関節が痛い原因を考える〜パート2、長距離を走る人の疲労骨折について〜

前回に引き続き、長距離を走る人の股関節痛について考えていきたいと思います。

今回は、疲労骨折についてです。

これまた股関節痛に関係ないと思うかもしれませんが、次のパート3に繋がりますので最後まで是非ご覧ください。

目次

長距離を走る女性になぜ疲労骨折が多いのか?

スポーツ選手の疲労骨折はテレビやインターネットで取り上げられることがあります。
この疲労骨折は女性に多いことでも有名です。
なぜ女性に多いのでしょうか?
今回はそこに焦点を当てて書き進めます。
 
疲労骨折と聞いてぼくが一番に頭に思い浮かぶのは「野口みずき」さんです。
何度も怪我に悩まされ、疲労骨折も数回しているようです。
野口さんの座右の銘が「走った距離は裏切らない」とのことで、毎日40kmは走っていたそうです。
毎日がフルマラソン(゚ω゚)
市民ランナーからしたら信じられない距離を走ってますよね(゚ω゚)
この走る「距離」に関しては様々な意見や経験があるため「これ」といった正解はないとぼくは考えてます。
その人に合った練習で、尚且つ結果に繋がる練習が良いのではないでしょうか。
 
少し話がそれましたが、本題に入っていきます。
「アスリートの三主徴」と呼ばれる「やせ・無月経・骨折」の有病率は一般女性の3倍だそうです。
これに加えて摂食障害の女性アスリートも多いそうです。
摂食障害の9割が女性といわれています。

貧血は疲労骨折へと繋がる

疲労骨折は持久系スポーツに多いです。
持久系スポーツは体脂肪を減らすとスピードを持続しやすく、持久力が上がります。
それ故、中学・高校の頃から体脂肪を徹底的に落とすことを強要されたり、自ら落としたりします。
女性が体脂肪を落とすと様々な問題が生じます。
確かにその時その瞬間は手っ取り早く成績は向上するでしょう。
しかし、ノーリスク・ハイリターンなわけがありません。
体脂肪過剰制限で精神的・肉体的ストレスが強くかかり、体内の様々なバランスが崩れます。
その結果、タンパク質・ビタミン・ミネラルが大量に浪費され本当に必要な部位にいかなくなります。
体脂肪減少に合わせて鉄分とタンパク質不足に陥り生理が止まってしまいます。
女性は生理で常に鉄不足との戦いを繰り広げています。
ただでさえ鉄不足なのにも関わらず、運動をすることで余計鉄の消費が著しくなります。
運動での鉄消費に関しては以前書いた記事がありますのでそちらの記事を貼っておきます。

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人間にとって非常に重要な鉄が不足し、脳が「これ以上生理で出血してしまうと(鉄不足になると)生命の維持が出来なくなる」と判断し、生理をとめてしまうとぼくは考えてます
(無月経に関しては様々な文献があり一概に言えませんが、ぼくは上記のように考えております。)

貧血は鉄より、たんぱく質が大事!

アスリートだけでなく一般人でも摂食障害の人は一様に貧血があるそうです。
鉄不足ということはタンパク質の摂取も十分でないことが多いです。
貧血だからといって鉄分を摂取しても一向に貧血が改善しない方がいます。
原因として、鉄分だけで赤血球を造るわけではないからです。
大元のタンパク質がないと造るものも造れません。
タンパク質だけでなく必要な栄養素が他にもあります。
ですので、しっかりとタンパク質や他の栄養素を摂る必要があります。


しかし、急にタンパク質を摂ってもうまく吸収してくれません。
これまでがタンパク質不足で生活していたため、タンパク質の分解酵素が体内で十分量分泌されないからです。
また、分解出来ても腸内環境が良くないとタンパク質をうまく吸収してくれません。
タンパク質がうまく吸収されないということは、赤血球を造るタンパク質も足りないということに繋がります。(ここでは赤血球のことだけ書いてますが、身体全てで言えることです。)
ここまで深く体を理解していないと貧血を解決することは出来ません。

鉄分摂取の注意!

ここで少し注意書きをします。

素人判断で自分は貧血だと思って自分で鉄をサプリで摂取し続けることはやめましょう。

血液検査で赤血球数・ヘモグロビン値・ヘマトクリット値だけでなく、フェリチン値まで測ってくれる信頼出来る病院に定期的に検査をする必要があります。
鉄の過剰摂取によって、体内の酸化ストレス増大、慢性疾患の増大、心筋梗塞のリスク因子、鉄2価による強力な活性酸素の問題、腸壁を傷付けてしまうなどのリスクがあります。
過ぎたるは及ばざるが如し!
病院での検査は当然として、体の反応を自分で感知することも必要です。
要は素人判断では非常に難しい問題ということです。
鉄は体にとって非常に大事なミネラルではありますが、リスクもあるということを頭に入れておきましょう。

女性に疲労骨折が多い科学的理由

話を戻します!
生理が止まると次に来る問題があります。
それが女性ホルモンである「エストロゲンの排出停止」です。
 
骨の主成分はカルシウムだということは誰しもがご存知と思います。
体内にあるカルシウムは骨の主成分になるだけが目的ではありません。
血液の微アルカリ性を保つものでもあり、神経の働きにも必要です。
血中からカルシウムが足りなくなると、血液は酸性へと傾きやすくなりますし、神経はイライラし、筋収縮が弱ります。
血中のカルシウムを調整するホルモンが「上皮小体ホルモン」「カルシトニン」です。
上皮小体ホルモンは血中のカルシウムイオン濃度を上げる役目を持っています。
血中に十分なカルシウムイオンがない場合、上皮小体ホルモンが分泌され骨に含まれているカルシウムを溶かしたり、腎臓からのカルシウムの排出を抑えたり、小腸でのカルシウムの吸収を促進することで血中のカルシウムイオン濃度を上げます。
カルシトニンはそれとは逆の作用をすることで、血中のカルシウムイオン濃度を下げる役目を持っています。
要は上皮小体ホルモンの拮抗ホルモンがカルシトニンです。
 
カルシトニンは女性ホルモンの一つであるエストロゲンによって分泌が促されます。
生理が終わると女性ホルモンは一気に排出されなくなります。
そうなると血中のカルシウムイオン濃度を下げる役割を持っているカルシトニンの分泌が行われにくくなります。
ということは、上皮小体ホルモンが分泌されても拮抗ホルモンであるカルシトニンが出ないこことで、上皮小体ホルモンを抑えてくれるホルモンがなくなるということです。
上皮小体ホルモンを抑えれないということは、骨からカルシウムを溶かして血中にカルシウムイオンを出し続けてしまうことになります。
その結果として、骨密度の低下が起こってしまいます。

 
以上の経過で骨密度が低下した結果、骨が脆くなり、折れやすくなるのが疲労骨折のあらましです。
グーグル先生に聞いてもほとんどがエストロゲンのことしか書かれていませんが、もう少し深く掘り下げるとこういった話になります。
とにかく、上記の理由で女性に疲労骨折が多いということです。
では、なぜ男性は女性ホルモンであるエストロゲンなんて出ないはずなのにカルシウム濃度が一定を保てるのかと思った方もいらっしゃるかもしれません。
答えは簡単で、男性でも微量の女性ホルモンが出ているからです。
女性の場合、生理を終えるとこのエストロゲンは全く出なくなると言われています。
しかし、男性の場合はずっと出るのでカルシウム濃度を一定に保ち続けれることが出来ます。

股関節痛との関連

上記してきたことは、股関節痛と密接に関わりがあります。
女性に疲労骨折が多い理由を書きました。
それは変形性股関節症でも同じ理由だからです。
ホルモンバランスの変化により、骨密度が低下すると骨の変形を助長してしまうからです。
女性に多い変形性股関節症には、このような理由もあったのです。
「変形」といっても、これだけ多くのことが関係しています。
(もちろん、他の理由もありますがここでは書きません。)

これで終わります!
長文失礼しました!
この記事が少しでも参考になれば幸いです( ^ω^ )

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