突発性大腿骨頭壊死の患者さんへの治療方法

今回は珍しい患者さんのご紹介です。
題名の通り、突発性大腿骨頭壊死をされた方(Mさん)の話です。

この病気は最近では芸能人の千原ジュニアさんがなったことで、聞いた方も多いかもしれません。

千原ジュニア「特発性大腿骨頭壊死」で人工股関節入れる手術「だいぶ我慢」薬で一時快方も再悪化

ご存知ない方は上記したリンク先をご覧ください。

それでは、解説に入ります。

・40代男性
・先天性股関節脱臼無し
・家族既往歴無し
・子どもの頃股関節に異常無し
・職業上座り込むことが多い(床専門の内装屋さん)
・初めての痛みは36歳の終わりに左股関節に出現し、その後1ヶ月程度で杖をついてしか歩けなくなった
・病院へ行くと「両大腿骨頭壊死」との診断を受け、強烈な痛みから2ヶ月後、左の股関節を人口骨頭にする手術をした
・ここ最近右の股関節が左の手術をした時のような痛みが出たので不安になり来院

それではMさんの解説に入ります。

上記しましたが、床を張る仕事をされている為長時間座り込む仕事をされています。
以前はお酒も多量に飲まれていたとのことです。
大腿骨頭壊死の主な原因は血行不良で起こると言われています。
多量の飲酒は血行不良になりやすくなります。
それに加えお仕事上座り込む作業が多い為股関節への血行不良がより進んでしまいます。
この二つが重なったことでMさんは大腿骨頭が壊死した可能性がかなり高いです。
そして右脚だけで立ち、股関節を10〜15度屈曲すると外前に痛みが出てました。
施術をして気付いたことはお尻の筋肉が極端に薄く、股関節過外旋位(わかりやすく書くとガニ股のこと)になっていることでした。

また、腰の骨は前弯していないといけないのですがかなり後弯していました。
これもやはり仕事上座ることが多い為腰の骨が後弯してしまっていました。
腰の骨とその下にある仙骨という骨があるのですが、そこの関係性がかなり悪くなっていました。
猫背も強くあり、これは完全に職業病でした。

まずは股関節周辺の施術を行い筋肉の様子を診ました。
全身的に筋肉量が少なく特に腰と臀部の筋肉が著しく低下しておりました。
歩き方を見ても完全にガニ股で、臀部に筋肉がないことがすぐにわかりました。
ガニ股で歩く方は、臀部と内転筋(内ももの筋肉)が少ないのが特徴です。
筋肉自体の質は良く、もみほぐすとすぐに柔らかくなりました。
施術後片足立ちしての右股関節軽度屈曲時の痛みは30%ほど軽減したとのことでした。
ぼくとしては筋肉のほぐしに手応えを感じたのに30%程度しか痛みが軽減していないということは、動かすと良くなると判断し施術後股関節を動かすことにしました。
適切かつ正確に負荷をかけると、この動きでの痛みが消失しました。
軽減ではなく、なくなりました。
Mさんも痛みがなくなったことに驚いてました。

筋肉を適切かつ正確にほぐし、動かすことで痛みはかなり軽減します。
例えそれが大腿骨頭壊死の痛みであろうが軽減しました。
壊死の部分が治るとは言いません。
もし治したらぼくはノーベル賞をもらえるでしょう。
しかし、軽減させたりそれ以上悪化させないことは出来ます。
大腿骨頭壊死は上記しましたように、血行障害の結果起こったことでもあります。
病的に壊死がある場合話は違ってきますが、血行障害による壊死の場合血行を良くすると進行はしないはずです。

今回のMさんの痛みがなくなったことは、骨頭部分が痛みを発しているのではなく筋肉自体が痛みを発していたということの証明でもあります。
関節包の中の骨には神経がありませんので痛みを出すはずがありません。
ですので、筋肉を適切に処置すれば痛みは劇的に改善します。
Mさんが今回の一回で治ることはありません。
むしろここからがスタートで壊死を阻止し、痛みを出さないように股関節を様々な角度から診ていく必要があります。

Mさんにもお伝えしてますが、痛みはまた出てきます。
それが次の日なのか、二日後なのか三日後なのかはわかりません。
痛みが出なくなる日が少しずつ長くなり、痛みが完全になくなる日を目指していきます。
Mさんから様々な情報を聞きつつ、一つ一つの原因を突き詰めて壊死がこれ以上酷くならないようにしつつ、痛みなく仕事が出来るようになって頂けるようにMさんと信頼関係を結びつつ二人三脚で治療を行っていこうと思います。

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